Welt-en
大学浪人時代に出会った幾人かの作家たちの中で、久方ぶりに、いま再び僕の心をとらえているのは、ヘッセである。
静かに精神の幸福を願う祈りの詩にとても惹かれる。
寝ようとして
一日のいとなみに疲れて、
私の切なる願いは
疲れた子どものように、
星月夜をしみじみと抱きしめる。手よ、すべての仕事をやめよ、
ひたいよ、すべての考えを忘れよ、
私の五官はみな
まどろみの中に沈もうとする。魂はのんびりと
自由な翼で浮び、
夜の魔法の世界に
深く千変万化に生きようとする。Beim Schlafengehen
詩においてこそ世界は世界化されるのだ。
- 作者: ヘッセ,高橋健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1950/12/07
- メディア: 文庫
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