Der morgen daemmerte "ersterbend".

 朝は明け、黄昏のごとく。

 早朝からマーラー交響曲第9番を聴いた。

マーラー:交響曲第9番

マーラー:交響曲第9番

 大植英次ハノーファー北ドイツ放送響による同曲の演奏が、たしか僕が大学2回生のころ、つまり2010年の5月あたりに、大阪福島のザ・シンフォニーホールであった。予習せずに聴きにいくのもどうかとおもって、それで買ったのがこのCDだった。
 当日の演奏のことは、あまり記憶にない。ただ、マーラーサウンドに圧倒されたことだけは覚えている。

 幸運にも、GM9 の生演奏にはその後、2回のチャンスに恵まれた。井上道義&KUSOによる第190回定期演奏会京都コンサートホールザ・シンフォニーホール)である。僕は実に幸運で、そのどちらにも足を運ぶことができた。当時は残された学生生活のまさに黄昏のうちあって、非常に感傷的で、涙もろく、顔をぐしゃぐしゃにして、大ホールのなかで音楽に包まれていた。


 この曲は、「死に絶えるよう」なコーダを根源として紡ぎだされる、実存音楽である。いまから思えば、井上道義&KUSOによる演奏は、まさにそういった生の狂騒を、えぐり出すように、鮮やかに、描いていた。彼らの「ディオニュソス祭」*1の伝統の為せる技だったのかもしれない。
 


  かつて私は懸命に生きた。
  事は、なにもかもがうまく運び、そして、ことごとく潰え去った。
  今はもう、なにもなく、ひとり痛みだけが残った。
 
  それでも、いま私は懸命に言おう、
  なんじ、我が愛すべき生よ、
  まっとうせよ、と。


 フィナーレを聴きながら、いつもそんなことをおもう。

*1:演奏会パンフレットより