明るみへ

 高校時代からお世話になっている『新アクセス独和辞典』によれば、

  • Licht 光、あかり
  • Lichtung (森林の)樹のまばらな所、林間の空き地

だそうである。

 ハイデガーのユニークな思索において、ではLichtungとは?

この Lichtung という語について、ハイデガーは次のように注釈している。「Lichtung[空け開け]というドイツ語は、言語史的には、フランス語のclairiere[森の中の空き地]の直訳借用語である。この語は Waldung[森林]とか Feldung[畑を区切ること]という、いっそう古い語にならって形作られた。Waldlichtung[森の中の空き地]は、いっそう古い言葉で Dickung[密生林]と名づけられた密生した森と区別して経験される。Lichtung という名詞は、lichten(薄くなる、透ける、まばらになる)という動詞にさかのぼる。licht(明るい、輝いた、まばらな、透けた)という形容詞は、leicht[軽い]という語と同じである。何かを空け開くということは、何かを軽くすること、何かを空けるとか開けるということを意味し、たとえば、森を或る箇所で木を伐って空けることを意味している。そのようにして生じた空いたところ[das Freie]が Lichtung である。」

芸術作品の根源 (平凡社ライブラリー)

芸術作品の根源 (平凡社ライブラリー)