りるけ
世界はあった 恋びとの顔のなかに
世界はあった 恋びとの顔のなかに
けれどもたちまち流れでて
世界はいま外に 世界は捉えるすべもないああ なぜ私は吸わなかったか それを掬いあげたとき
あふれる恋びとの顔から
世界――私の口に近く 匂っていた世界をいいや 私は吸ったのだ どんなに果しなく吸っただろう
けれども私のなかにもありあまる世界があって
吸いながら 私もあふれていったのだったWelt war in dem Antlitz der Geliebten, Rilke
- 作者: リルケ,富士川英郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1963/02/22
- メディア: 文庫
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